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セネガル初のブラインドフットボールフェンス完成  ~紙工作から始まった制作物語~

ブラインドフットボール(ブラサカ)のフェンスは、コートの周りに設置され、選手が安全に競技をするうえで必須の備品です。フェンスには、日本製やヨーロッパ製、世界大会で使用されるものなど様々なモデルがあります。

そもそも、セネガルにはブラサカ用のコートがないため、「フェンス」の製作会社はなく、また、ブラサカの選手やその関係者たちがフェンスを製作した事例もありませんでした。


子どもたちや選手は、学校の校庭で練習したり、大会を開催したりしています。しかし、フェンスがないのでコートの範囲が分からず、コートの外に走って出てしまい、コンクリートブロックや金網にぶつかり、あわや大怪我につながるという場面が度々ありました。

「視覚障害があっても、思いきりコートを走り回りたい!」

そんな思いを叶えるため、コートにフェンスを設置することは、私たちと現地パートナーのアリ氏(ブラインドフットボールセネガル代表監督)との数年来の夢でした。 また、私たちの活動の軸の一つであるブラサカの普及・振興を進めるうえで、子どもたちや選手が安心安全に体を動かせる環境を整備するということは、大変重要なことでした。


「フェンスを自分たちで製作しよう。」

2021年現地で活動していた際にアリ氏と話し合い、フェンスの試作がスタートしました。まず、セネガルで製作できるモデルを自分たちで考案し、紙の模型を作成しました。その模型を片手に活動地域内の工房をいくつも回り、フェンスを製作できる業者を探し、素材の検討を行いました。製作可能な業者がいくつかあったのですが、費用が100万円以上かかってしまうことが分かり、製作に費やせる十分な資金がないため、行き詰ってしまいました。



そこで、フェンスのモデルを製作し、資金提供をしてくれるパートナーを探すことにしました。試行錯誤ながらもフェンス2枚を製作できましたが、コート1面をフェンスで囲うにはおよそ80枚のフェンスが必要です。


みんなが安全に思いっきりプレーできる日を夢見ながら、練習や活動をしてきました。


「2023年11月セネガル初ブラインドフットボール用フェンスが完成!」

ついに夢が叶う瞬間がやってきました。

きっかけは、イギリスの団体がインクルーシブ教育推進活動の一環として、国立盲学校(活動先)に学生と一緒に訪問したことでした。彼らがブラサカの練習に参加した際、アリ氏やコーチの想いに共感し、モデルとして製作していた2枚のフェンスをコート全面に展開できるよう、資金提供をしてくれたのです。


みんなの実直なブラサカへの想いやその姿が「思いきり走り回りたい」という夢を叶えました。私たちだけでは微力ですが、無力じゃない。様々な人々の想いが重なった瞬間でした。


近々、視覚障害のある選手たちがフェンスで囲まれたコートで激闘する姿をお届けします!

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